最近読んだ本。

話題の流行小説、1Q84を読みました。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

ハルキ本は恥ずかしながら初めてなので、どんなもんだろ、と恐る恐る読み始めた感じでし
た。
うわさで聞いていた独特のこじゃれた言い回し(やたらと音楽とかの話になる等)、過剰な性描写(果たして必要なのか?)、ひとつの言葉を(時には余りうまくない)言い換えによる多角的な表現など、「おお、これがうわさのハルキ節か」と少々感動しながら読み進めていきました。
内容自体は魅力的なキーワードが多く、伏線が張り巡らされている(ような気がする)うえ、中盤から終盤にかけて謎をゆっくりと明かしてくあたりは面白く、ぐいぐいと読んでしまう力に富んでいるという印象です。
文章構成については、登場人物の2人の話が、章の形で交互に展開していく形をとっており、ややスピード感にかける向きもあります。また、章ごとに内容の面白さの差が激しく、また、一方が面白い場合はもう一方があまり面白くない、ということも多いため、読んでいてフラストレーションを感じることもよくありました。
そういった言葉遣いや構成、意味のありげで意味のなさそうな性描写(そのすべては生殖行為ではない)が多いといった、鼻に付くことが数多くありますが、全体としては面白く読めました。久々に寝る間を惜しんで読んだりしました。book2を一日で読んでしまうくらいに。それはひとつのSF大作のようでした。
が、それは最後の2章を読むまでです。最後のオチがどうも気に食いません。なぜ、なぜ、結局そのテーマで終えてしまうのか。ここまでの大風呂敷はこんなもののためだったのか。えええ。
っていう感じです。ちょっと腹が立ってます。思わず書き込むほどに。そんなことを言いたいがために、小説の中とはいえ、簡単に人を傷つけ殺してきたという事態に。

性行為の描写、もしくはその行為自体がもはや特別な意味を持たない今の時代、人間が起こすほとんどすべての事象、特に性(エロ)関係が「まあそんなこともあるかもね」っていう一種の諦めに似た感覚で許容できてしまう今の時代に生きる私にとっては、これは単にひとつの小説に過ぎないのですが、この作家がある一つの時代において、ひとつ、もしくはそれ以上の特別な意味と特別な影響を与えてきたのだ、ということはなんとなくわかった気がした、2009年の夏の夜でした。てへ。