戻るんだよ

ものすごいこじつけで息子のところへ出かけた。
ふれっつのセットアップツールとプロバイダーからのお知らせが届いたのに、一ヶ月たっても接続を完了させられない息子のぐずぐずに我慢出来なくなったからだ。
フレッツのセットアップまでは友人がしてくれたそうなのだ。で、その先のプロバイダーから封筒で届いたIDを入力する段になって息子は青ざめたらしい。それまでに届いた2通の封筒の中身を一つにまとめ、空の封筒をゴミ箱へぽいしたのは覚えているという。だが何故か手元に残っているのは、空の封筒という不思議さ。
いや、なんの不思議でもなく、ぼけ息子が中身の入った方を間違って捨ててしまっただけのこと。友人のアドバイスでIDの再発行をしてもらったら、私が着く前日に身分証明が指定されたものではないので、再送してくれとお知らせが来たというのだ。
まったく、大学生協の時にも入会手続きが完了するまで、何度も封筒が行き交ったが、またもやこのていたらく。
土曜日に来る母にかみなりを落とされると察知した息子は、郵送ではなくすぐさまFAXで送ったらしい。
ということで、日曜日。
連絡を待ってる時間がないので電話で問い合わせさせた。
すると、あろうことか、捨ててしまった書類の中に、プロバイダー料の支払先を指定して返信しなくてはいけなかったらしいのに、息子はそれが出来ていないから、会員証再発行にかかる手数料の請求先もないことになり、再発行も出来ない状況であることが判明した。
第一、電話で個人情報をやりとりすることは出来ないそうなのだ。

ということで、あれやらこれやら再発行書類を再再送付してもらうことにした。
なので息子の部屋でネットが出来るようになるにはまだまだ1週間以上かかるということになった。これも再々発行の書類に不備がなければの話で、なんだかたよりなさげなのが心配なことなのである。

「なんかさぁ一人暮らししてさちゃんとやってそうに見えるけど、やっぱりぼけだねぇ。」というと、
「お母さんが来るとすぐに高校生の僕に戻っちゃうんだよ。それがまた大学生に戻るのに少し時間がかかるんだよ。だからお母さんが来てくれるのはすごく嬉しいんだけど、困ることもあるんだ。」などと言う。
「じゃ来るなってことかい?」と脅すと、
「いや、そういうわけじゃないけどさ。あんまり親が来るって言うのも、恥ずかしいしさ。」と、娘と同じ事を言う。
私の本心としては、もっと頻繁に娘と息子のところへ交互に出かけたいと思ってるのに。これでも結構我慢して回数を抑えめにしてるつもりなのに。
ま、いいや。またもっともらしい理由が出来るだろう。出来なきゃ作っちゃうぞ。

それほど間を置かずに子供たちと別々だけれど一緒に過ごすことが出来てとても嬉しい。起きてる時は私よりずっと大きい二人だが、寝顔を見ていると小さな子供の頃と同じだだなぁととても愛おしく思うのだ。だから出来る内に大人になっていく顔と、やっぱり子供な顔をたくさん見ておきたいなぁと思う母なのである。

で、京都からも東京からも帰る時はじんわり悲しくて、家へ帰ってきても、やっぱりいつもの生活に戻るには少々時間がかかるのは仕方ない事なのだろう。そのままもう少しそこにいられたらなぁと思う。


で、そんな私の思いのせいではないだろうが、昨夜新幹線に乗ったのに家へ帰ることができず、息子の部屋に舞い戻る羽目になった。私の乗った一本前の列車に人が飛び込んだというのだ。
幸運にも私は新横の駅で止まっていたので、在来線を使って息子の部屋に戻った。4時間前の状況に戻ったわけだ。よっぱらいおやじが偶然新横で止まっている時に連絡をしてきて、すぐ息子のトコへ戻った方がいいだろうという相談が出来たのも、私にはラッキーな事だった。
新横を過ぎてしまっていたら、一体何時に家へ戻れたことだろう。何時間か後に運転再開したとしても名古屋駅からの足がない。電車はとうに終わってるし、いくら特急券代が返金されたからと行って、それがタクシー代やら、ホテル代にはたりないのだ。かといって列車の中で一晩過ごすのもいやだ。仕方ないにしてもいやだ。ちゃんと眠れないだろう。そんな事にならなくて、私は本当にラッキーだったと思う。
あんなに大勢の人たちが困った事になっていたのに、今朝ワイドショーをみても息子の部屋を出る前には全然扱われなかった。なんでだろう。あれは無かったことになってるのかと思いながら帰ってきた。おやじも新聞記事にもなってないぞという。狐につままれたのだろうか私は。でもちゃんと昨夜の切符は品川で返金もしてもらったし現実だよなぁと不思議な気持ちになった。荷物を片づけて一段落してから某掲示板へ行ってみた。
なんとJR東海の職員だというじゃないか。一体どんな思いだったんだろう。こんなにたくさんの人に迷惑をかける事が本望だったんだろうか。

娘の言うように、本当に厳しくともいい社会であって欲しいと願う。