出発

息子はいよいよ明後日の朝、一人で東京へ向かう。
大きな引っ越し荷物はないので、親戚の陶器やさんでカートンを譲ってもらい細々した生活用品など、こっちから持っていく物の荷造りをし終えた。
不思議なことに荷物ができあがって行くに従って、息子の顔つきが変わってきた。一人暮らしの覚悟を決めたような、きっぱりとしたものになってきたのだ。それまではこちらが心配してもしたりないような危うい雰囲気ばりばりだったのに。
しっかりとした息子の顔を見上げて、おおっと驚いたのと少し安心したのとやっぱり寂しいと、なにやら複雑な思いがわいた。
食事の後の茶碗を洗いながら、息子もこれから一人でこんな事をするんだと、うっかり考えてしまったら、鼻の奥がつうんとした。まだ家いる息子に気取られないように、普通に過ごすのもなかなか大変だ。
明日は出発日前日。具合よくというかなんというか、高校の友人たちとカラオケいってボーリングして食事してと楽しい時間を過ごしてくる予定だという。うんと楽しい思い出になることだろう。うん。よい友人たちがいてよかったなぁ。

で、娘も今日えるえーに向けて出発していった。
これまでの海外旅行は一応旅程表なる物が家にはあったけど、今回は留学している友人を訪ねていくので、娘の行動はこちらではさっぱりつかめない。
一人で出国していくのは初めてなので、こちらとしては心配だが、もう機上の人なので今更心配しても仕方ない。
成田で時間をもてあまし気味の娘が、暇つぶしに家へ元気な声で電話をかけてきた。
向こうへ着いたら連絡をくれることになっているので、それを待つしかない。その後はまたきっと音信不通になるだろうけど、予定通り2日の夕方に帰ってくるのを待つばかりだ。
こちらも大いに楽しんで、心の中の宝物を増やしてくることだろう。

いいねぇ 若いって。青春を謳歌する だね。