まず一人

娘が今朝には京都へ戻るという朝方早くほんのり目が覚めた。そのまますぐに眠りに戻れる時もあればそうでない時もある。そうでない時はいつもラジオ深夜便にチャンネルを合わせてイヤホンを耳にさす。ラジカセが頭の横にあるので、真っ暗なまま手探りでスイッチを入れる。
ラジオから聞こえる声を上の空に、隣の部屋ともう一つ隣の部屋に寝ている子供たちを思った。
この家に入った時当時は、2階の三部屋で、おやじが一部屋、私の両隣に子供たちで一部屋という具合に布団をひいてねていた。
子供が大きくなるに従って、おやじが建て増しした2階へ、古い方の2階の三部屋を私と息子と娘で一部屋ずつ使っていた。ベッドではなく、毎日お布団をひく、朝には布団を上げて、天気がいいと干す、という生活をしてきた。

今朝はじっくり、隣の部屋には息子が、その隣の部屋には娘が寝ていることを感じていた。だがこうやって3人並んで寝ることもこれからはなくなるのだなぁなどと、感傷にふけっていたら眠れなくなってしまった、と言えばしんみりしていい話なのだが、知らないうちにぐがぁといびきをかいて眠ってしまったという始末だ。

娘は今頃京都で働いている。まず一人自分の生活へ戻っていった。
あと2週間ほどでもう一人新しい自分の生活を始める。

ここへ残った私たちの新しい生活も始まる。子供たちに心配をかけないように、元気でいなくちゃね と思う。