冬支度

ここ数日でめっきり涼しくなってなどという程度ではなく、秋をすっ飛ばし一気に冬に突入してしまう勢いで、空気が一気に冷え込んできた。
数日前なぞは、塾へ行く息子が外から「星空がとってもきれいだから出てきて」と呼ぶ。
星がとても近くに見える。冬の夜空だ。ものすごくくっきりはっきり星が見える。だが星々を繋げて絵が描ける程の想像力のない私にはただの星、星、だ。それでも二人できれいだねー、でも田舎だねー、月が雲間から出てて絵のようだねー、でも寒いねーと数分並んで東の夜空を見上げていた。
オゾン層はスマやO-Zoneが守ってくれるらしいから、この環境は維持されるのだろう。
季節が冬支度を始めるとどうやら私の体も冬支度を始めるらしい。もしかして私の先祖は冬眠をしていたのだろうか。この時期になると、体重も微妙に上昇傾向になってくる。それ以上に体脂肪率が上昇するのだ。なんだか冬眠準備に入るクマかなにかの動物のようだ。
虫たちも冬支度なのだろう。今年はご用済みの梅干しを干すざるに体長2.3cmのヤモリが張り付いていた。生きてるかどうかを確かめるために、小指の腹でそっとヤモリの背中をなでてみた。爬虫類特有のひやっとした感触。触られたヤモリはほとんど動かない。生きてない?もう一度撫でてみた。体毛を刈り取られた猫の膚を触るのと同じ感触。直に体温を感じるあの感触と同じで、私はそれが大好きなので、なんどもヤモリの背中を撫でていたら、やっと やめてくれる?というように、のそのそと物陰へ移動していった。寒くなって動きが鈍くなっていたのかな。
鈍くなったのはヤモリだけではなかった。PCの前に座ったらその目線の先に、少し太ったハエが止まっている。まさか手ではつかめまいとは思ったが、掃除用の布きれをもった左手でハエをつかんでみた。
掴んでしまった。寒くなってハエも動きが鈍くなっていたんだろう。
こうやって生き物は冬支度を始める。
って、ハエはつぶれちゃったから支度もなにも無くなってしまったけどね。