わぉぉーーーーん

オオカミに変身しそうだね。
うん。なんか変な力が湧いてきそう。なんて、会話を送迎中の中2女子と交わした。

6時半に塾を出発。一山越えるとしばらく西に向かって走ることになる。季節によってはちょうど目の前で日没を見ながら走る事にもなる道で、今日は日が沈んで夕方の闇に色が変わろうとしているところだった。
夕焼けのあかい色ではなく、それが極うっすら残ったのに薄いアオが重なった色とでも言うのか、なんと表現していいのか分からないが、明るいあおい色だった。きっと日本の古い言葉にはこの色を表す言葉もあるだろうが、知らなくて伝えられないのがちと寂しい。
とにかく目の前に透き通ったあおが広がり、ところどころ浮いている雲は影がそらに残っているという大きな大きな絵のようで、きれいだなぁ、大きいなぁ、なんて見ながら、こうやって人生も時間が過ぎていって、しずかにきれいに終わりの夜が来たらいいのになぁなんて事も思いながら、運転していた。

って、ことは真後ろの東の空は夜の色なのかしらと、前方を気をつけながら少し目線を後ろに動かしてみた。
夜だ。夜の空の色だ。運転席の窓から見える後ろ半分は、すっかり夜の空の色になっていた。ほんとうに半分こってふうに、色が違っていた。


一人ずつ乗り降りが済み、向きが変わって東へ向いたらいきなり目の前に、煌々とひかりを発している満月が現れる。
で、最初のところの会話にだ。
昨日も同じような月だったと女子が言うので、じゃ今日は16才かな、なんて話しをしながら塾へ戻ってきた。


車を降りて空を見る。
バンパイヤになりそうな気がした。

ぐってみた。今夜が満月だ。変身はしなかったけどなんだか楽しくなった。”悠久の”なんて言葉が浮かんだ。そんな感じ。