奇々怪々

半月ほど前から、デジタル受信だけ出来なくなったテレビ。
今はそれほど必要を感じないので、まぁいいかと放っておいたが、やっぱりわうわうが見られないのは、少々寂しいので、電気屋さんに電話をしようした。

そこは跡継ぎもいないようで、昨年の秋くらいからお店のシャッターが降りっぱなしになっていたけど、ご用のある方はこちらへ、なんて張り紙がしてあるくらいだから、すっかり店じまいをしてしまったのでもなさそうなので、電話帳で番号を探してみたら、一番新しいものには番号が載っていない(張り紙の電話番号は未確認なので)。

こりゃ、いよいよダメかも知れない。そこで、何年か前の電話帳で調べて電話をした。

もう、電気屋さんはやってないのよと、いぶかしげに電話に出られた奥さんに言われた。それでも、ウチで買って頂いたのならちゃんと面倒みなくちゃいけないからと、テレビがどんな具合か確認しに来てくれることになった。

電気屋さんに、デジタルの方だけ映らなくて真っ暗なんですと訴えたところ、
じゃ、調べてみましょうねって、道具を車に取りに行ってらっしゃる間に、私は二階のベランダに干しておいた布団を取り込んだ。

電気屋さんがテレビのスイッチデジタルにすると、なんと摩訶不思議なことに、あったりまえのように映像が映ってるじゃないか。あったり前のように音声も聞こえる。チャンネルをかえても、ちゃんと映る。
これでは、なんの問題もないではないか。

”あれ?何かされました?”
”いえ。でも初めてみるテレビなので、どうなってるのかなぁって思ってたところで。”
”あんれーー! お宅で買ったんじゃなかったんですっけ?ひえー、すっかりそう思い込んでしまっていて、申し訳ありません!!”
”いえ、いえ、いいんですよ。映ってるからもう問題ないですね。”

ああ。なんと申し訳ない。ほんとごめんなさい、ごめんなさいって、おじさんを見送った。

おやじに報告すると、ほりゃいかんわ、なんかお詫びせな という。

って、ちょうどジビエのようなものがウチにあったのでそれを持ってお店に顔を出した。

そういったものは昔から得手じゃなくてネェ、気持ちは充分に伝わったからと、今度は私がおじさんたちの笑顔に見送られて帰ってきた。

わけわかんない そんなことでも過ぎてしまえば 笑えるはなしさ かな。