放浪の果てに

この間の英語教室の途中でいきなり電気が落ちた。ライトもエアコンも止まってしまった。雷が落ちたわけじゃないし、電気の使いすぎでも無いはずだ。
ってことで配電盤を確認した。ネコがとんだ。配電盤を蹴ってその先の隙間から二階の床下へはいっていった残像が残った。
ありゃ。こいつはもしかして、その前におやじが塾のトイレの床下から聞こえてくる子猫の声をきいたという出来事と繋がるのか?

私はとらが死んでしまってからは絶対にネコは飼わないと決めている。なので、子猫を探そうとするおやじに私の堅い気持ちを伝えておく。結局おやじはそのままうっちゃっておいた。

で、月曜だ。洗濯物を干してるとえらく近くから仔猫の声が聞こえる。声のする方へ近づいていくととらにそっくりの大人ネコのそばに生後二週間くらいのもはもはした黒毛と白毛仔猫がいた。
そこは家のタマネギ干し場になっていて、ねこ家族が雨風をしのげる住まいには適当な場所になっている。
が、ネコを飼うつもりはない私は、それらに脅し文句を浴びせていた。
”だめだよ!!私はネコ飼うつもりはないからね!!”と。

その翌日、そのあたりにはネコの気配は無くなっていた。その後雨が降ったりしたので、どこかで雨に濡れて震えていやしないかと気にしていた。

で、昨日。とらにそっくりの親ネコがのたのた歩いていた。
”あ!あんた、どこにいたの?”と声をかけると、
家に保存用の冷蔵庫やら陶器やらおいてある小屋の中へ入っていた。もちろんその後を追いかける。
ありゃ。そこにはあの時みた仔猫が二つちいさなくぼみに丸まっていた。
塾にいるおやじを呼んでいる間に親ネコが仔猫を一つずつ目に見えないところへ隠してしまった。

で、とらの為に買っておいて食べ残ってしまったネコ缶を置いておいた。脅してしまった自分の行為へのお詫びのつもりで。げそげそし始めてる母ネコの栄養補給のつもりで。
しばらく経った時にネコ缶の減り具合を確認しにったら、なんと仔猫は三つだった。くろ、くろ、しろだ。そんなに飼うつもりは全くない。

で、そこで住むことや許してやる。ただ、悪さをしたら追い出すからね。トイレは外だよ。わかったね!!と声をかけておいた。

で、今日だ。お昼にシーチキン缶をつかった。身だけを使って缶の底に残ったハーフオイルとシーチキンのくずし身。いつもなら弁慶のご飯に足してやるけど、今日はジプシーネコ家族にあげる事にした。

今日は前回より缶の放置時間が長かったし親ネコも見かけなかったし気配も感じなかったので、またどこかへ放浪の旅に出たのかと思っていた。(おやじ曰く、絶対そこにおるって。)

夕方もう一度見に行ったら、こそこそ何かが動いていた。
いた。まだそこにいたんだ。空になった空き缶を片付けた。

その後、見に行ったら子ネズミがそこに置いてあった。恩返し?

またまたその後には子ネズミが消えていた。完食?


って、ことでとら似のネコ家族に軒下を貸してやることにしたんだけどさ、私はこの後どうすると思う?