星新一。

昔はよく読んだものです。何冊もある新潮社の文庫本をどれだけ読んだんだろう。
でも気づいたらつまんなくなってやめました。だって、ものすごい説明口調だから、ああもうそこまで言わなくてもいいのにっていうもどかしさを凄く感じてしまったわけです。
でもまあ原体験として私のどこかにあったわけで、それを感じているのがNHKでいまやってる『星新一 ショートショート劇場』を見ている時。題名を見たり、チラッと導入部をみただけでああ、そういやこの話のオチってあれだったなあ、というのが毎回一つはあるんです。オチがわかんなくても、この話知らないや、ってのがあんまりない。
で、このNHKの番組なんですが、昔単発放送でショートショートを映像化した番組を流したところ、なかなかいい反響が返ってきたため今は毎週月曜22時50分(すますまの裏だったり)から10分間三本の話を放送しています。私はこの単発放送を見逃した上(モロさんの一人芝居が見たかった)、最初の二回もすっかり忘れてたんですが、その後は毎週録画をしてたまーにたまったのをみています。
大抵は2本CGおよびアニメで、1本が実写です。実写のは正直出来栄えのいいものは余りないのですが(俳優はいいのを使ってるんですけどね)、アニメのものは結構どれも作りこんであってあんまりはずれがないんです。
好みはあろうが、どれも面白い着眼点と話の解釈および噛み砕き方をしていて、おかげで私の中の星新一の欠点である説明しすぎの部分がうまいこと流されてるんですよね。物にもよるのですが。
実写のがあんまり良くないことが多いのも、アニメほど絵面とか音楽とか雰囲気でごまかせないからだと思うんです。飛び道具が使いづらいし。
これら作品群を作っている人は毎作品違ってて、だからこそいろんな種類があって面白いんですが、どれもこれも凄い人たちなんだよなあこれ、どうしてるんだろうという疑問が頭をもたげて初めてまして。それに加え、今見てた『ひとつの装置』っていう作品がもう星新一とほとんど対極にある非説明的作品でこりゃ凄いと感心したので、日ごろの疑問も解決しようとちょっとNHKのホームページで調べてみました。
そしたら、どうも彼らはNHKの映像系クリエーターを多く発掘し続けている昔の私のお気に入り番組『デジスタ』の優秀者達のようです。あ、何で昔、といっているかって言うと、今は見れないからです。BSだから。地上波しか写んないし。というとこで納得。だから結構変な感じとか若い感じとか勢いとか感じたんだわっと。話自体を換えかねない換骨奪胎ぶりね。そんなの新進気鋭のクリエーターくらいしか出来ませんよ。しかもあんなに作家とかお金を贅沢に使える感じはさすがNHK。地道にいろんなコンテンツをつくり続けているだけはあるよねほんと。どこまでほんとかわかんないですけど、NHKだし星新一だから、って感じで引き受けた人たちもいるっていう。其の繋がりがなかったらあんないいもん(いろんな意味で)は出来ないだろうし、着想すら生まれたかどうか。あ、なんだか偉そう。ううう。まあいいや。しかし最近で言うと電脳コイルといいプラネテスといいNHKはアニメに本気出すと凄いのができるよねえ。いやさ、ドキュメントももちろんいいのはわかってるけれど、それはまあ当たり前かなって言う。こないだ見た監査法人も細かいあらとかはイーッパイあったけど見ごたえはあったし。
ということでちょっと熱をこめて星新一のアニメは面白いですよ、と主張してみました。あれはお金があるNHKしか出来ないですよほんと。実写にまとわりつくNHK臭さがあんまりないのもよいのです。NHK自体はあんまり好きじゃないからね。
あ、だからといってNHKに入りなよ、とか薦めるのはほんとやめてね。私は視聴者の立場が一番好きなんだからさ。