メモ。

最近読んだ本を並べる。

巫女 (岩波文庫)

巫女 (岩波文庫)

巫女は時代設定がギリシャ神話時代(紀元前)となっているものの、扱っている主題は「神の冷酷さ」という普遍的事実であり、また書かれた年代が割合最近*1なために、時代性というものをあまり感じず、よみやすいです。では、時代設定は話を成り立たせるものとしての役割以上に果たしていないのか、というとそういうわけではなく、しっかりその時代がもつ乱暴さ、荒さ、無情さなどがこっちに伝わってくるのでぐーです。
しかし、物語の大部分が婆の一人語りという設定なため、ほとんどの文末が「〜じゃ」とかになっていてすごい読みにくいのが難点です。

帝都物語〈第壱番〉 (角川文庫)

帝都物語〈第壱番〉 (角川文庫)

帝都物語は続きが読みたいのですが、金銭面から今はちょっと断念中*2。古本を探そうとおもっているのですが、ちょっと面倒で。これを読んだ後は、ますます荒俣大先生への敬愛の念が深まります。

アーサー王物語〈5〉

アーサー王物語〈5〉

で、アーサー王はやっと全巻が刊行され、私もやっとすべての物語を読むことが出来ました。いろいろと思うことがあるのですが、いっぱいありすぎて覚えていないのが残念です。全5巻でハードカバー約1500p分をしかもそれぞれの巻の間に数ヶ月あって内容を覚えていろ、というほうが無茶ってわけです。とりあえず、ラーンスロットが(物語中で)あんなにもてはやされている意味がわからず読みながらすごいいらいらしました。本に突っ込みながら読んだのは久々です。
あと、訳がすごい良くない。本当にひどいと思う。書かれた時代が時代なので翻訳するとどうしても変な文体になるのはしょうがないと思うのですが、それにしてもちょっとどうかと思います。この本の利点美点はビアズリーの挿絵が収録されていること、マロリー本を完訳(なのか?)しているところだけな様な。どうなのだろう。私が持っているもう一つのアーサー本は要約だし、多くは物語を抜粋したものなので頭からお尻まで読めるというのはとてもいいことだと思います。これで文学歴史上読んどけって言う大作残りは聖書と神曲天国編ですか。先は長い。

*1:1956年、戦後です

*2:全7巻だから全部そろえると結構な額に