あいつが出た

いつものように朝の洗濯をするために、お風呂のふたを開けた。お風呂の残り湯を吸い上げて、洗濯に使うためだ。
ん?なにか浮いてる。
なんか、紐みたいだよ。誰かの足の裏に何かついてそれが湯船までくっついてったのかな、なんてのんきに思ってた。輪ゴムの切れたのみたいだったんだよ。
娘が京都へ行ってから洗濯物がぐっと減ったんだけど、今年は息子の帰りが遅くて、制服を着替えることなくお風呂タイムに突入なので、ぐっと洗濯量が減ってしまい洗濯回数も少なくなった。
そうはいっても制服のシャツがあるので、毎日洗濯機は回す。
一回目の洗濯が済んで湯量が減ってとりやすくなった、風呂桶の中に入れてあるゲルマニウム球を拾おうとして、ついでにその紐様のものを拾い上げようとすっと手を伸ばしたら、感触がふにょってした。
あーーー!あいつだ。あいつが溺死して体が少しずつ切れて浮いてるんだ。
きょーーー!触っちまったがね。
その後、そっと洗面器ですくい上げて外へ流した。

そいつの正体は、もう君には分かっているね。
そう、頭(かしっぽかわかんないけど)がハンマーシャークみたいになってるほっそいひも状のヒルだ。
ああ、気持ち悪かった。