瞬間沸騰

沸点の低い私は普段の生活の中でムカッとする事がよくある。沸いてしまえばその後は冷めるだけから、あまりいつまでもふつふつと沸いている事は少ない。少しずつ若くなくなってるので、湯を沸かし続ける持続力がなくなってきているからかもしれないが。
私が瞬間湯沸かし器になる時は、
私が結構手間をかけて作ったおかずをおじいがさくっと手を付けずに残す時、
無防備にテレビを見てるといきなり目に飛び込んでくるヨメのCMを見た時(また新しくなって子どもが増えてるあたりがムカつく。すいません、ほんとしつこくて)、
人が忙しい思いで台所に立ってたり、スマ番組を編集したりしてる時に、傍若無人にかかってる勧誘電話に出なきゃいけない時、
など、いきなりムカつく状況の中に放り込まれる時だ。

私たち夫婦は毎朝喫茶店へ行く。今朝もいつものようにコーヒーチケットの置いてある喫茶店へ車で出かけた。2台分の空き巣ベースの右側へおやじは車をバックで入れた、と同時くらいに左側スペースへ車をバックで入れている人がいた。
私がおやじが運転する車の助手席に座ったのは、結婚前のつき合っている時までだ。嫁に来てからは、助手席は義母の席だった。亡くなってしまってからも、私は助手席には座らない。後部の左側が私の指定席なのだ。
というわけで、うちの車の左側に停めようとしている車がしっかり止まるまでは私はドアを開けずに待っていた。その間におやじはさっさと降りてしまい、外からドアロックをかけて、すたすたとお店の方へ向かっていった。エンジンキーを抜き、それで車の外からドアロックをかけると、集中ロックが効いてしまい、車の中からはどうやってもドアが開かないようになっている。
焦った、閉じこめられた!どうしよう!
窓をドンドンコブシで叩けども、窓もドアも閉まりきった車中からはどんなに大声で叫んでも全然声は外へ漏れやしない。おやじは全然気づかずにもう店のドアに手がかかりそうになっている。きっとこのままあのアホおやじは気づかないだろうと思ったら、なんか息が苦しくなってきそうだった。
ラクションを鳴らそうとしたけど、ばんばん叩いても音が出ない。ああぁもう絶望だ。あんなヤツは注文をしてしまっても気がつかないだろう。このまま、息苦しい車内で気を失ってしまうのだわ、と諦めかけたら、隣に車を入れたおじさんが、パニクってる私を見つけて、自分の車のクラクションを数回鳴らして喫茶店に入りかけたおやじを振り向かせてくれた。
振り向いてもすぐにはなんで呼ばれたのか瞬時には理解出来ない風に、のそのそと車へ戻ってきて、ドアロックの解除をした。
よかったぁ。私はやっと解放されたのであった。
私は隣の車のおじさんにお礼を言いながら、おやじを責めた。おやじは全く悪びれることもなく、怒り狂う私に、うるさいわ!と逆ギレする有様だ。ふーーーん、そういう態度なわけね。むふ、これでまたおやじをいびるネタができた。ネタを提供してしまった事をおやじは後悔している風だったが、後の祭りだ。

久しぶりに体の中の血が沸々とわくような思いをした今朝の出来事だ。

それも半日たってしまってもうすでに温度が下がっている。その要因の一つでもあるあまりにもおもしろなヤモリの姿が上の。ね、テロテアリーナでしょう?