メモ。

さて、そんなこんなで無理やり関連付けて。最近読んだ本。

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)失楽園 上・下』 著J・ミルトン 訳平井正

ようやく読み終えた本。学校が始まってから遅々として進まなくなり、上巻が二週間もかからずに読み終えたのが、下巻は一ヶ月以上もかかってしまいました。
さて、上巻の主題が天使ルシファーの神への反逆と堕落、人間を使った復讐の決意だったのに対し、下巻は天地創造と、サタンの誘惑に落ちたイヴと共に自らも滅びることを決意したアダムにその末裔がどうなるか、そして救主(メシア)の登場を示唆して楽園から追放されるまでの顛末が述べられています。
上巻はサタンが中心だったのに対し、下巻は神とアダム(人間)の関係に話題は移行していきます。なので上巻はひとりの天使の堕落の顛末が小説的に書かれていて物語として面白いのに対し、下巻は旧約聖書のキリスト誕生までの部分をミカエルがアダムに自分の末裔がどういうことになるかを見せるという形で書かれているので我々としては聖書梗概を読んでる感覚になるので知識的に面白い、となるので基本的には下巻は上巻に比べて面白くないという評判です。
本当は下巻を読み終わった上で全体の感想を書こうかと思ったのですが、どうも上巻と下巻の間には感覚的に雰囲気がだいぶ違うのでまとまった感想がかけそうもありません。そして下巻は聖書を読んでる感覚にもなるので失楽園に対する感想、と言うより聖書、キリスト教(ひどく曖昧ですね、この言葉)に対する疑問しか浮かび上がってきませんでした。
例えば人類初めての殺人が行われたカインとアベル兄弟の挿話で何故アベルだけがほめられてカインはだめだったのか、イブは何故アダムの後ろに付き従わなければならないのか、何故(神から与えられたという点以外で)自分の力を信ぜず神を常に崇め奉らなければならないのか、何故天使は盲目的に御子と神をあがめるのか、何故あんなに御子は偉そうなのか、等々。そして最大の謎が何故聖書はこんなにも自虐的内容なで自分以外の力に頼れと命令している権威的支配の道具でしかない(と私には思える)のにそれほどまでに人々に受け入れられたのか。
疑問はつきません。これでも全部じゃないし、しかもキリスト誕生前の話のみですからね。
なんだか感想とは離れてしまった。とにかく面白かったですいろんな意味で。やっぱり聖書は読まなきゃいけない。

いま、ミルトンがプロテスタントなのかカトリックなのか調べようとウィキを見ていたんですが、キリスト教関連の記事がいっぱいありすぎてなんだかよく分かりませんでした。なんていっぱいの宗派があるんだろう。