野生のもの

家の庭は玄関に入る道を境に左右にブロックわけがされていて、入ってくる時に右側になる方を私が世話をする事が多く、左側をおじいが担当するような暗黙の了解が出来ている。
春が過ぎてどんどん雑草が伸びてぼうぼうあれ放題になっていてもおじいは全く手を出そうとしないのと同じように左側にどんなに下草が伸び放題になっていても私は手を出さない。
例外はお正月前で、その時ばかりはおじいがにわか庭師になって庭中が(そんなに広くはありません)とてもきれいさっぱりとする。冬の間はなんにもなかったような所から、春が近くなると緑色の葉が伸び黄色い花が咲く。これは多分福寿草だと思うが自信はない。上からのしかかってくる雑草やら枯れ葉などを押しのけてつぼみが頭をもたげてきて、花を開いたり閉じたりする。そんな様子を楽しみながら感心してみているけれど、昨日今日の時ならぬ雪に、そのつぼみを堅く閉ざしている。この寒さが過ぎれば、朝日が当たると花びらを開き、夕方になれば閉じる、を数日繰り返してくれるだろう。野生のもののその過ごし方に感心させられる。

もう一つ野生のもの。一昨年辺りはとてもたくさんのねずみが家の天井やら壁やらを走り回っていてうるさかったのに、ふと気がつくとこの1年くらい沈みかけの船じゃないかと思うほどねずみの気配を感じなくなっていた。それなのに、とらがいなくなった翌朝から壁のなかをねずみが走り回っている音が聞こえるようになった。今朝なんか、お皿の中に残っていたたくあん*1がテーブルの上に散らばっていた。ああ、悲しい。またねずみとの戦いが始まる。
とらちゃーーん、と呼んでみても詮無い事。日中鼻の奥がつーーんとしなくなるのは何時くらいだろうか。

*1:おじいが食べるものを冷蔵庫へ仕舞ってしまうと嫁に気兼ねして食べなくなってしまうので、傷みが来ないものはラップをかけてそのままおじいの場所に出しっぱなしにしてある