さしたる反省もなく

つまらん。落ちも何もなくあっけなく「芝浜」が終わってしまった。
土曜日は一日授業、送迎、授業、送迎・・・と、私ともほとんど話す事も無く終わってしまうので、おやじの様子からは、消えた月謝袋を気にしてるのかどうかが分からずにいた。
今日も朝から定期テストの補習があるので、話す時間はない。
ただ、朝からどうも妖しげな行動をしている。私には分からないようにごまかしてるつもりで、なにかを捜してる風なのだ。いつもなら、私に行方を聞くところではあるが、先日来の事があるので、聞けないでいる様子でもある。
朝の一コマが終わってお昼時。落ち着かない様子で、時間の余裕がないのにあちこちを無言で捜している。いつもは黙っておれずにわぁわぁ言いながら捜すおやじが無言なのだ。
自分が仕舞ったわけでもないのに、どうしてそこにあると思ったのか、一応捜してみるかなのか、私が隠して置いた整理済みの月謝袋を手にとっている。
そして平然と何事もなかったように、袋の中からお金を出し元の所へ月謝袋を戻していた。
余りにも平静を装っているので、これは反省させねばと、声をかけた。
「その月謝袋どこにあったと思っとるの?!」
「(どぎまぎを隠すように)ん?家の下駄箱の上やろ。・・ちがうか・・・。」
「そんなとこにあらへんわ!塾の下駄箱の上やわ!」
「やっぱり・・・。」
「やっぱりやないわ!いいかげんしときゃーよ。この間あんたなんて言った?(問いつめ)よっぽど中抜いたろかと・・・以下くどくなるので略。」
なにやら、言い返したいけど、珍しく言葉を飲んだおやじ。黙って大人しくお昼ご飯を食べて、また塾へ戻っていった。
本当にシマッタと反省したのかその様子からでは分からなかった。
あぁもう少し慌てさせたかったけど、長引くと逆ギレするかもしれないヤツなので、これで良かったかもしれない。
落語のようなほのぼのとした落ちにならずに残念だ。