異常なし

おじいの再検査の結果も異常なしだった。
「ほんなもん最初から分かっとったわ。咳が出るとか痰が出るとか全然なんともないで、レントゲンなんかやらんでもよかったのに。」
文句たれたれだ。空腹が絶頂に達すると、体に震えが来て怒り心頭に達し電池切れのおもちゃみたいに(そんなかわいげのあるものではない)その場で動かなくなってしまうおじいの診察予約時間が11:30だというのだ。
両隣の3市共有(?)の市内唯一の公立病院ということもあって、診察予約をしようが何しようが、朝一番ならいざ知らずお昼近くになると待ち時間が1時間以上なんて事は日常茶飯事なのだ。するとおじいがどんな様子になるかは火を見るより明らかである。その場に一緒にいないので被害を被ることが無くて話だけ聞けばいいので安気である。
案の定、空腹を紛らわすのにジュースやら缶コーヒーやらを買って自分なりに工夫をして怒りと空腹を紛らわせたらしい。
その上、先日の診断結果を聞いた後に、CTを体の裏からと表からを撮り直して、結局異常なしと言うことだ。
無駄なことをさせられたと言うより、きっと空腹を我慢しなくちゃいけないことの方がおじいには堪えられないことなのだ(と、私は想像する)。
なんにしても良かった、良かった。
きっと少しずつ体が年をとりつつ、おじいらしく元気にいてくれるだろう。
と、打ってる後ろをおじいが、
「さむなったなー。」といいながら通っていった。振り返るとでんち(綿入れ半纏と一緒かな)を着込んで冬支度になってるおじいがいた。おもしろくてかわいい人だ。
・・・と思える時もままあるんだよ。