最近見た映画&読んだ本のメモ。

本読んだよ。

ホフマン短篇集 (岩波文庫) ホフマン物語 E.A.T.ホフマン
ホフマンの短編集。悩ましい主人公が様々な悩ましい出来事に出会って悩みます。ドイツの陰鬱で哲学的な感じがよく出てる。なんかトニオ・クレーゲル系。そんな感じ。やっぱドイツ文学苦手かも。小難しし過ぎる。ゲーテのウェルテルがぎりぎりセーフ。

エレンディラ (ちくま文庫) エレンディラ ガブリエル・ガルシア・マルケス
コロンビアのノーベル賞作家の「オトナのための残酷童話集」。ラテンアメリカの小説とか映画って(私が見たり読んだりした範囲だけれど)日々自然や経済情勢等の厳しい現実の中に生きている*1からかどんな幻想的な設定であっても救済がないのよね。救済、というか極論してしまえばハッピーエンドがないの。見かけはどんなにファンタジーなものであってもそこに見え隠れしているのは厳しさであり、それは救いようのない厳しい現実。ヨーロッパのもそういった面があるけれど、あれは取り繕った厳しさであり、それこそ虚構であったりするのよね。虚構ではなく真実の厳しさがあってもそれはあくまでも人間(関係)の厳しさであって、ラテンアメリカにおける自然とか生活環境とかのようなもっと根源的で原始的で絶対的な厳しさでは全くもってないのですよ。そう、彼らの作品に触れているとまさにこれの写真のバックような自然が思い浮かんでしまうのです。人間を拒絶する冷徹な自然。もう、あそこの自然は「自然は芸術を模倣する」なんてイギリス人が軽々しく言えるようなものではないのですよ。厳しい環境条件が人間に見せる冷徹さに見守られた彼らの作品はだからどこか物悲しく現実に対しても虚構の世界に対ししてさえもどこか必ず醒めた目で見ているの気がしてならないのです。でもだからこそ、ひどく現実的な目で書かれているからこそ彼らの文章は、映像も含め、逆に夢に満ち溢れているのです。しっかりと現実を見据えているからこそ見る夢ははっきりと美しく輝かしいものになるのです。だって夢と現実は違うものなんですから、その境目がはっきりしていればしているほど夢は硬度が高く純粋に結晶化していくはずでしょう。そしてその結晶が夢の塊が作品となってこの世に現れるわけですからそりゃもう面白いはずですわ。でもね、やっぱ厳しいから手放しでは面白くはないです。でも好きです。もうぐちゃぐちゃです。
ま、そんな感じでラテンのものは面白いです。最近はまってます。

しかし本の画像がないなぁ。
映画見たよ。

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 [VHS]クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
大阪万博を懐古主義のファクター(?)にしてひたすらノスタルジックで哀愁漂うつくりにしてあって、もうオトナにはたまらない内容の映画となっておりますが、これを子供相手の映画(でもこの頃はもうしんちゃん映画はオトナのためのアニメ映画、という意識の植え付けを完了してたっけ?)でやってしまうのはすごいことです。たぶん子供は何にも面白くないでしょう。だから子供志向になっていて子供には大うけな最新作は方々で(オトナに)たたかれてますのですね。

10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル [DVD]10ミニッツ・オールダー〜人生のメビウス
アキ・カウリスマキ(過去のない男)、ビクトル・エリセジム・ジャームッシュ、ベルナルド・ベルトリッチ(ラストエンペラー)、ヴィム・ヴェンダース(パリ・テキサス都会のアリス)、チェン・カイコー(さらばわが愛、覇王別姫)*2巨匠らが10分という枠内に「時」という共通のテーマの下に撮った作品集。・・・たぶん映画をよく見ていて感受性がよいとか頭のいい人は好きなんだと思う。私にはちょっときつい、気がする。というか10分が苦痛な人さえいた(カウリスマキね。あの人は長編でも短編でも彼の色しか出ないね)。もちっと勉強してからにします。でも長編が見てみたくなった人もいるから収穫あり、かな。

*1:全くの想像ね

*2:カッコ内は私が以前見たことのあるその監督さんが撮った映画。