小豆

おじいが例年のようにはだか祭りへ行って来て、サツマイモと小豆を買ってきた。
一箱1000円のサツマイモは今時は珍しいからと買ってみたら、中で芋が結構腐ってたらしい。
腕時計の電池が切れかかって時計が止まった事があったので、時計を買ってきたと、嬉しそうな顔をして腕をぬっと私の目の前に差し出した。
うげっ何その金ぴかのやすそーーな時計は、と思ったが、それを口に出して言って、昨夜の酔っぱらい夫婦のけんかのようになってはいけないので、”なんちゅーきれいな色なの”と言ってみた。満足げな笑みと共に”980円だった”という。
新しく電池を入れ換えても1000円はするんだから、そう思えば新しい方がいいんだろうな、おじいにとっては。でもベルトも文字盤もなにもかも全部金ぴかな時計はどこぞのしたっぱちんぴらのようで、できれば止めて欲しいなぁ、などとは口が裂けても言うまい。
その方が家族が平和に暮らせるだろう。
サツマイモと一緒に小豆も一袋買ってきてくれた。パソコンのそばのストーブは鍋ややかんを置いたり出来るので、そこでぜんざいを煮ようとしている。
全部はちょっと多いかな?といいや、やっちゃえと、やっちゃえの気持ちが勝ったので、いつもぜんざいを煮る鍋でつくってるんだが、やばい。このままではアンコが出来る。無理矢理水を足したけれど、潮が引いた浜のように、豆の間にすこし水が溜まってるという具合。砂糖を入れたら鍋を持ち上げる事が出来ないくらい一杯一杯になってる。文句を言いながらもきっとみんなは食べてくれるだろう。アンコには優しい人たちだから。