いっぱいの人

去年公開後、私が観に行きたいって言ったのに、俺は見ん!!したいはよう見ん!!といって、即却下されてそのまま諦めてしまっていた『おくりびと』。
ここへきて、おやじの気持ちが少し軟化しはじめてるが、今日はごろちゃんも月いちで1位にしてたし、夕刊の映画評でも、”驚愕また驚愕””ラスト30分が感動的だ””監督の手腕に打ちのめされる”と、すっごく褒めてたのでそれを観に行く事した。

シネコンに着いたら、朝一番の回にしてはひろーーーい駐車場に車がたくさん。
お、これはもしかしてアカデミー効果か。
スーパーの開店前なので、映画館へあがる入り口だけ使用可能になっているそのドアに張り紙が。
”本日おくりびとは満席です”
おお、凄いことになってるじゃん。
エスカレーターで上がってさらに驚く。今まで見たことないくらいの行列が出来てて、係員がメガホンを持って、”本日分のおくりびとはすべて満席です!!”と、苛ついた口調で何度もアナウンスしていた。
ほよよよーん。
ほら、去年見とけばよかったのにと、後悔しきり。


で、Changeling は。たいしたこと書かないけど一応公開直後なので、

なにかの映画を見た時に、予告を見てから、これはみたいかもとその時思って、巷の評判にも押されて期待していた割には、期待はずれ。

9才の息子が神隠しのように、忽然と姿を消してしまったにしては、母親が冷静過ぎる。
それよりなにより、母親のぽってりした唇が(あんじぇりーなじょりーの映画は初めて)、ずっとずっと真っ赤なのと、アイシャドウが濃すぎるのが気になって気になって。
取り乱したり、警察権力への正義の戦いが熱い思いで突き動かされるようにという描かれ方をしていないので、私としてはどうにも腑に落ちない気持ちをだきながら終わってしまったってな感じ。

この映画を見て、誘拐殺人は許すべきではないとか、
警察が自分たちの不手際を隠し、その保身のためには人をおとしめることなんて何とも思ってない、そんな権力の横暴を許しちゃいけないとか、
そんな思いは湧いてこなかったんだよね。
そんなの私の中には当たり前にある感情なのだから。

この映画でよかったなって思えたのは、一人では弱すぎる母をバックアップした牧師さんが、この事件の後もいくつかの出来事を正していったってテロップが出たとこかな。

比べること自体間違ってるのかも知れないけど、私にはこの前観た『禅』の方が、人の生き方を淡々と説いているのが、じぃんとしみて暖かく気持ちのいい映画だったと思うわけで。


きっと日本語話す日本人の感情だからだろう。

この前のバットマンとか、ぱんずらびりんすとか、すうぃにーとっどみたいなのは日本では仕上がらないだろうし、禅みたいなのは外国ではうまくないだろうし。おくりびとのハリウッドリメークもどうかしら?

それぞれの分なのだなぁ ってね 思うべさ。