千秋楽

めずらしく愛知で千秋楽を迎えたおれすてす。名古屋へ3日間かよった。我ながらちょっと行き過ぎ?とは思うが、きっと家でじっと我慢してるなんて出来ないだろうから、買ってしまえーと夏にぽちっとしてからが長かった、長かった。
東京で見た以来、大阪へは行かなかったので途中がどうだったか分からないけれど、名古屋の初日で、あれ?演出が少し変わった?もしかして蜷川さんも名古屋入りしてるの?と思っていた。
2日目もまた少し変わっていた。大楽は、蜷川さんが見ていると明らかに分かる役者たちの気迫だった。大楽って事もあるだろうけど。
演出が名古屋初日から比べるとさらに変えられていて、変えられた方がそのシーンの真意がさらに伝わるようになっていた(と私は感じた)。そして、おれすてすの動きも沈黙の間も、何もかもが雄弁だった。藤原は私が今まで見た中で一番よかった。
とてもとても質の高い舞台だったと思う。

今の私の状況にシンクロしてる台詞が、泣ける、泣ける。
「夫婦仲の良い者の人生は幸せだが、結婚がうまくいかない者たちは、家の中でも家の外でも不幸を抱えた人生を送る。」
「・・・・。
おお、儚き人の人生は涙が絶えず苦しみばかり。
見るがいい。人生の行く手に必ずあるのは突然の不幸、
希望の届かぬはずれ道。
長い年月経るうちに、出会う不幸は人さまざま。
いかなる人の人生も、思いがけないことばかり。」

わたしんちにはあぽろんは現れてくれないもんな。第一、おれすてすはあぽろんのご神託で罪深い母殺しをしたのだから、最後には助けに来てくれたけど、人の携帯見るのはご神託じゃないもんな。今まで全然気にならなかったのに、なんであの晩だけ気になったんだろう。やっぱ、神様の思し召しなのかしら。

だとしたら、私にこの先待ち受ける運命は・・・・・(昼ドラ風で)。

や、昨日こっちのごたごたも無事大楽を迎えそうな気配だったのに、ちょっといい気になって嵩に掛かった攻撃を仕掛けたら返り討ちに遭ってしまった。ぐうううう。

随分以前の新聞のインタビュー記事だった(かはっきり覚えてないけど)赤川次郎と誰かの対談で、自分は奥さんをとても大切に思っていて、奥さんがしたいことは何でもさせてあげるし、自分が仕事中に奥さんが遊んでいても何とも思わない。奥さんの楽しそうな笑顔を作っているのは自分なのだから、それが自分の幸せだ、とかなんとか。

へーーー!すごいな。本心からなんだろうか。ほんとにそんな旦那さんがいるんだろうかと思った。おやじは自分はそのつもりでいるらしいが、どうも本心は違うよなー、気をつけないとなー、でも、大丈夫そうかなーと気を抜いていたら、やっぱりそんなもんではなく、私の思ったとおりのおやじだった。

ごめん、子供たち。娘は一緒にいないから変な空気を味わわなくて済むけど、息子には悪いなぁ。

ああ、どこまでも続く不幸の連鎖。とか台詞言ってる場合じゃないんだけど。第一使い方間違ってるし。

てなことで、明日娘の高校時代の友人のお母さんたちと3人で会うはずだったのを、
「たいへんお恥ずかしい話でごめんなさい。ちょっと大げんかをしてまして、出にくいんです。今回はお二人でお願いします。」とお断りをする羽目になった。

「いいのよー、どこのご夫婦にもあることですもの。」次回はぜひご一緒にと電話を切った。

だはははー。タイミング悪いったら。

そうそう、藤原ってものすごーく優しいのね、と涙が出そうになったこと。
雨の中の舞台のせいか、エレクトラ役のほたるちゃん(と、まだ呼ぶのはどうかだが)が、昨夜はずいぶんと声が嗄れてしまっていて、聞き取りにくい箇所がいくつかあった。
大楽なのに本人は悔しいだろうなぁと想像していた。
カーテンコールは最後から二人目がエレクトラ、最後がおれすてすなんだけど、扉を開けたおれすてすはまっすぐおねーちゃん(おれすてすのね)に向かい、ふわっと抱き上げて、くるくるっと回してぎゅってした。
私の気の回しすぎかもしれないが、なんだかうつむき加減だったおねーちゃんが、その後ぱぁっと明るくなり、吹っ切れたように、みんなにハグしていた。

あれは、藤原の心底からのさりげない優しさだろうと思う。

その後、キャスト全員の感激のフィナーレといった風に蜷川さんも交えて何度も手を挙げたり、客席に手をふったりとで、大楽の醍醐味を味わって、幸せ気分で帰宅したのだった。出してくれたおやじに感謝の気持ちもたくさん湧いてきた。

    のに。ああ、なんたる あかさたな ・・・・すいません、すいません。
          浅はかなり おかげで幸せ 雲散霧散・・・・・・・・・・

追 前日携帯を壊して投げたのは私ではありません。