面白い。

まだ読み途中ですが。
ミルトンの失楽園を読んでます。渡辺氏のやつじゃないよ。
この話は神への謀反を理由に地獄に落とされた天使ルシファー*1が圧倒的な武力を持つ神の軍勢に善きものとして神が創った人間のを悪へ導くことによってせめてもの反抗を試みる、というもので、堕天使と神と人間のと攻防を様々な修辞によって飾り、世界一美しい文章*2と言う名を獲得するくらい流麗に格調高く歌い上げています。
まだラファエルが神と堕天使の戦いの内容を語る途中で蛇がアダムをそそのかすところはまだなのでたいそうなことはいえませんが、とりあえずの感想をメモ代わりに書かせてください。
サタンが数多くいる天使の中でも特別な恩寵をういけていたのにもかかわらず神に反抗を企てたのはなぜかということが結構物語の重要な部分をなしているように思われます。
サタン自身の説明によるとあまりに高い地位を与えられたのでさらに上の地位に行きたいという欲を持ってしまい神の地位がうらやましくなってしまったからだそうです。
それに加え、神が天使を統べるものとして御子をおつくりになり、神の寵愛を一身に受けていた自分を差し置いて後から作られた御子なんぞに上に立たれるのは癪触ったため、神と御子に対し叛乱の槍の矛先を向けたと説明されています。
でもここで考えるのは、やっぱり無償の愛、と言う言葉なのでは?
ちょっと前にトーマの心臓を読んだ時「人に愛されていないと思い込むことほど不幸なことはない」と思ったわけですが、畢竟これは人の愛を、見返りを求めることのない無償の愛を受け入れることが出来ない、と言うことであり、それが今回の失楽園を読んでいてどうしても思い出されて仕方がなかったわけです。
つまりルシファーは神から注がれるその愛が何かの代償を求めているのではないかと思い込んでしまっていた(ちょっといいたいことと違うけれど)、その愛を妄信的に信じてしまった、だからちょっとでも神の子に新しく愛が注がれることを是とせずまたその自分が愛されているとの驕りによって反乱してしまった、のではないか。
神の愛が他にも向けられたとしてもルシファーへの愛が減るわけでもないのに。
悲しいかな、愛が信じられない身は。その身ほど哀れなものもない。

うまくまとまってないですね。全部読みきってからちゃんとも一回書きます。

それにしても面白い。8日くらいで上巻が読めてしまう。古典はいいなぁ。

*1:ルシファーとは「明けの明星」を意味し、『失楽園』中ではサタンの天国にいた際の名前とされている。ルシファー=サタンという説は以前からあったこの説をミルトンが大きく広めたのだが、実は厳密には違うらしい。

*2:と誰かが書いてたのを見たことがある。英国文学史上最高傑作との称号は一般的に認められている