飲み込む

買い物から帰ったら藤原の古畑を編集してRAMに移動するのを楽しみにしてきたら、家の車庫の前に車が止まっていて、件の町内会長が家の方へ行くのが見えた。だれも家にはいないのですぐに戻ってくるだろうと車を降りて外で待ちかまえていた。
町内の葬儀の連絡を組の人たちにしなかった私にいきなり怒りの電話をしてきてから、初めての接触だ。おじいが先週くらいに町内会議で会った時には何も言わなかったそうだが、今日はどんな風に出てくるのかと身構えていたら、こんにちはの挨拶もなく、回覧をくばっとけ!といきなり紙袋を突きだしてきた。そして、電話の時と同じに、謝りに行ったか?だの、お前が悪い!だの、なんだか何を言ってるのかわからない事をまくし立て、しっかりしろ!!と捨てぜりふを吐いて車に乗って去っていった。
何言ってんだかわかんねーよ、ばーか!なんて気持ちになったけど、その件はおじいとその人の間で終わってる話だとだけ返し、私は頭も下げなかった。言い返す言葉も謝罪の言葉も飲み込んだ。どうにも悔しいの気持ちのまま古畑を見たので、どっぷりドラマの中にはまれなくて残念だった。

町内会長とのやりとりの大まかを畑から帰ってきたおじいに報告した。その後おじいがあすとろろを食べようかという。
実は私はおじいがとろろにしよう、というのを聞くと、気持ちがどよよんとするのだ。日曜の夜はおやじが私を夕飯づくりから解放してくれてる日なのに、おじいがとろろを摺るというと、一家の一大事のように3時過ぎごろからすりばちで摺り始めるおじいに気持ちを合わせなきゃいけなくなる。私がする準備自体は出汁を作って刺身を切って小鉢を用意してくらいで全然大したことではないけれど、その強烈な束縛感に包まれるのがいやで仕方がないので、最近はとろろにしよか、と問いかけるおじいに色好い返事をした事がない。
二つ返事でうんと言うだろうとふんでるおじいは、尻ごんでる私の態度に少々むっとした様子で、町内会長とのやりとりでの私への同情の気持ちも消え去ったようだった。
夕飯を二人で食べてる時に明日どうする?と聞いてきたので、とろろだとおやじも喜ぶので明日とろろにしよう、と言うと少し気持ちがなごんだようだった。
私は、おやじは喜ぶけど、私は嬉しくないんだなぁ、なんて言葉はもちろん飲み込んだ。
今の気分は今日の天気のようにどんよりだ。みこまこを見るとさらにどんよりだろうか。そっちは録画に任せて、女王の教室を見ようと思うが、するとさらにどんどんよりよりかも知れない。どれだけどんよりどんよりになるのか楽しみになってきた。ははっ。
そういえば、も一つどんよりのこと。剛舞台の親子招待の落選のお知らせ。珍しく舞台を見に行っても良いと娘が言ったから、出さずにおこうと思ったハガキを速達で出したのに、落選ですってさ。