ごく小さな幸せ

おじいがさつまいもの苗を買った。なぜかさつまいもも台所においてあった。早速天ぷらにして食べようと思ったけれど、夕食の天ぷらを揚げただけで疲れてしまった。なにせアクアビクスで汗かいて踊ってきた後だから。
だけど、きっとおじいはどういう味のさつまいもかを確認したいに決まっている。それもいも天でそれができると思っていたに違いない。分かっちゃいるけど天ぷらにする気力が湧かなかったので、魚焼きグリルに中にアルミホイルでまいた芋を入れて焼き芋にする事にした。夕食の後息子がいつもよりゆったりとその場にいて、なかなか焼けないグリルの中の芋の具合を確認している私に聞いた。
「まだ?」
何を聞いてるのか即座に分からなかったが、芋の焼き上がるのを楽しみにしてそこで待っていたというのだ。
高校2年男子が焼き芋のできるのを楽しみにしてるって、それはアリ?なのだろうか。
まぁ家の息子らしいっちゃらしいや。ということで、それにはつっこむことはせず、
「そんなに簡単に焼けんに。」というとそこで待つ事は止めて、着替えをしに2階の部屋へ上がっていった。
30分くらいで焼き芋が出来上がった。
「焼けたよー」と声をかけると、階段を降りてきて嬉しそうに焼き芋をほおばりながら塾へ出かけていった。焼き芋が息子に小さな幸せを運んだようだった。