一安心

私の母はおじいの妻なのだが、私の実家で一人暮らしをしている。いつからだったかはっきり覚えていないけど、耳が悪くて、そのせいでめまいを起こすようになっていたらしい。メニエール氏病と診断されたはずだったし、ずっとそのつもりでいたので、めまいを起こして寝てるらしいと聞いても、さほど気にしていなかった。
それがここ数ヶ月前から、そのたまに起こるめまいが、なかなかきつくて不安になったのか、どういういきさつかよく知らないけど、脳外科で検査をしたらしい。・・・らしい、と伝言ばかりなのは、私が直接母から話を聞いていたわけではないからで、ま、そんな関係は関係なのだが。
その結果を15日の火曜日に家族に聞いて欲しいから、一緒に病院へ行ってくれと連絡を貰ったのが、先々週の金曜日。なんとまぁ先の話だわねと思ったのと同時に、緊急に呼び出されなかったと言う事は、診断結果も緊急をようするものではないのだろうとの推測も立つはずだ。
脳に腫瘍ができてるとの話だったが、ガンではなく良性の腫瘍で、内耳道の奥の聴神経のところに1cmに満たない大きさのおできが出来ていて、それが大きくなって脳幹部を圧迫するようになれば、手術の必要も出てくるだろうけど、今の状態では命に関わる事はないので、そのまま様子みることになった。爆発的に大きくなる可能性はほとんどないだろうし、そういった症例に出会った事がないと、担当の先生はおっしゃった。
腫瘍をどうにかしたいのなら、放射線治療で小さくする事も可能だけれど、それをしたからと言って、耳鳴り、めまい、めまいに伴う吐き気の症状がなくなるわけではなく、かえって聴力をなくすことになる事例が多いという事だ。
ま、放射線治療によるメリットよりデメリットの方が多いということね。
さほど悪い想像はしていなかったけれど、たいして重病というわけでもなく、今まで通りの生活が出来るという話を聞いて、やはりほっとしたおじいと母と私だった。
母にしてみれば、今はもうおまけのような命だし、年も若くないし、随分気ままに好き勝手に生活してるんだから、もしも何かあったとしても、それはそれで仕方ないと思ってた、と息子に話したら、
”もしもおかあさんがばあちゃんと同じ年齢でそういう事がおこっても、やっぱり死んで欲しくないと思う”と言う。
うーーん、確かに親子ならそう思うのが自然なんだろうなぁと、自分に置き換えて思ってみても、私と母の今までの出来事を思うと、素直にそう思えないんだよなぁ。親不孝な子供って言葉はあるけど、子不幸な親って言葉はないんだよなぁ。それだけ親って物は、親ってだけで大切で敬うべき存在って事かなぁ。16歳くらいまで遡って二人でやり直すと、そう思えるかも知れないな。
もしも手術・入院となったら、藤原舞台やスマライブに影響が出るのがいやでいやで仕方がなかったんだが、当人も同じ事を心配していたらしい。なんだか予定がたくさんあるらしくて、それに支障を来さなかったのを喜んでいたんだから、どっちもどっちな親子って事なんだろう。その方が気が楽でいいや。私たちはこんな関係だな。緊急連絡用におじいと母に携帯電話も持たせたし。
ただ、娘とはそうならないようにと、母を反面教師にしてきたつもりなのだが、どうかな?