五山の送り火

息子のオープンキャンパスの日程と送り火の日と重なったのを、これ幸いと私も京都へ行くことにした。若い頃から一度は見てみたかった大文字焼き
ホテルの屋上に宿泊客は無料であがれるので、点火15分位前に屋上へ上がる。息子とその友人を誘ったが、後からねというので、一人で点火を待っていた。
仕掛け花火のナイアガラのように連続で一度に燃え広がっていくのではなく、すこしずつ火がつき始め、じわじわとゆっくり大の文字がはっきり山中に浮かび上がってくるのである。写真で見るのと実際の大文字とさほど違いがないような気がするのだが、あのたなびく煙の中から浮かび上がる文字の様はその場にいないと見られない。15分くらい後に、妙・法が目の前に突然の様に現れた。赤々と炎が燃えさかって妙の炎が揺れながら迫ってくる、ように感じた。ほぉーーっと一人で感嘆の声を上げていたら、近くの団体さんのおじさんたちが、「今年はきれいだね。去年よりずっときれいだよ、大の字も妙の字も。」と話し合っていた。なんか、ラッキー!って、小さくガッツポーズな気分。
舟形と左大文字は遠いのと、方角がすこしずれるせいできちんと見えないけれども、鳥居を除いて一度に揺れる炎たちを自転しながら見ていた。これって、お精霊さまを送る火なんだよねーと、仏様は見えないし見たくないけど、ちょっと目を伏せてそんなことを思ってみた。想像していたよりも地味なイベントだったけど、お祭りじゃないんだもんね、当たり前だよ、と気づかされた。
そこからは娘の部屋へタクシーで帰るつもりだったのだが空車なんて一台も来ないんだよ。諦めてずっとバス通り沿いに歩いているのだが、バスも渋滞のせいで来やしねぇ。ビールも飲んでほろ酔いだし、足は痛いけど10時までに部屋へ戻らなきゃ「SMAP×SMAP」に間に合わない。ああぁもう歩くのが限界、ってところのバス停で待っていて、15分くらい待ったところへ来たバスに乗ってやっと部屋へついた。もう汗でヌトヌトでヘロヘロだ。のに、部屋が汚い。なんか悲しい一人暮らしの気分を味わった。
そんな思いをして帰ってきたのに、なんてつまらん「SMAP×SMAP」なんだ。途中で寝ちゃったよ。どうしてトーク集だけにしてくれないかなぁ。歌なんていらないし、説教は一回聞きゃあ充分なんだよ。